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楽しい植物観察日記」カテゴリーアーカイブ

オニバスの葉の成長

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 オニバスの成長については、HP「石川の植物」内の「植物生態観察図鑑(mizuaoiの写真館 改題)のFILE297で説明し、その後折々に断片的に紹介してきましたが、ここらでもう一度整理しておきます。
 7月19日現在、最大の葉は第17葉で、長さが87cm、幅が90cmになりました。畳約半畳分の大きさです。第18葉も水面に出てきました。これはどんぶり形で、今のところ、幅が18cmですが、この後、どんどん展開し、1週間ほど後には、1mを超すくらいの葉になる予定です。楽しみですね。開花は8月になってからでしょう。

横1024ピクセルの大型画像を、植物生態観察図鑑(mizuaoiの写真館改題)のFILE301でご覧下さい。  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm
 オニバスについての詳しいことは、拙著「植物生態観察図鑑-おどろき編」(全国農村教育協会)で22頁にわたって解説しました。機会があればお読み下さい。

ベニバナセンブリとハナハマセンブリ

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 ヨーロッパ原産の帰化植物、ベニバナセンブリとハナハマセンブリがいま、開花期を迎えています。両者はよく似ています。名前としては、ハナハマセンブリよりもベニバナセンブリの方が覚えやすいのに、どうもハナハマセンブリの方が多いらしく、また鮮やかな赤い花をしているので、ハナハマセンブリを見た人が、これぞベニバナセンブリと思い込み誤解している例が多いように感じています。
 横1024ピクセルの大型画像を、植物生態観察図鑑(mizuaoiの写真館改題)のFILE300でご覧下さい。  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm
 両者の特徴について、拙著「植物生態観察図鑑-おどろき編」(全国農村教育協会)で9頁にわたって解説しました。機会があればお読み下さい。野々市市の図書館にも1冊寄付してあります。

ナニワズの果実

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 ナニワズは6月になると真っ赤な実を結びます。入れ替わりに葉が黄色く枯れてきてやがて落葉し、果実も鳥に食べられたり、自ら落ちたりして枝だけになります。これを夏坊主と呼びます。
この赤い果実はいかにも美味しそうですが、有毒なので近所の子どもたちが誤食しないように気をつけなければなりません。適当な時に摘果するのが良いでしょう。
 我が家にはかつてナニワズの大株があって、2009年には450個超の果実ができたのですが、2012年には、寿命と考えていますが、とうとう枯れてしまい寂しくなりました。今年はわずか14個しか稔りませんでした。
植物図鑑には、雌雄異株であるとか、はっきりしない雌雄異株などと書いてあることがありますが、どういうことなのでしょうか。詳しい観察結果を植物生態観察図鑑-おどろき編(全国農村教育協会)に13頁にわたって書いてありますので、ぜひご一読お願いします。

☆ 横1024ピクセルの大型画像は、植物生態観察図鑑(mizuaoiの写真館改題)のFILE294でご覧下さい。  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm

カタクリの種子を運ぶアリ

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 20日(水)は石川県立自然史資料館で標本整理をする予定でしたが、急遽変更してカタクリの種子を見てきました。それというのも、好評発売中の「植物生態観察図鑑-おどろき編」の次作に当たる「植物生態観察図鑑 〇〇〇〇編(未定)」をただいま執筆中で、以前に出版した「知るほどに楽しい植物観察図鑑」に載せた「カタクリ」を再登場させることになっているからです。
 「知るほどに楽しい植物観察図鑑」には、2002年にCOOLPIX990で撮影したカタクリの種子を運ぶアリの写真が載っているのですが、ピントが悪いので何とか撮り直したいと考えていたものです。
 幸い熟した果実を見つけることができたので、地面に種子をばらまいてみました。なんと、カメラを構える暇も無くたちどころにアリがやってきて種子を運んで行きました。
大型の黒いアリで、あとで昆虫探検図鑑1600(川邊 透.全国農村教育協会)で調べるとクロヤマアリらしいと分かりました。
 クロヤマアリは次々と現れて、大顎で種子のエライオソームの部分をくわえて押したり引いたりしながら運んでいきました。最後の種子を運ぶクロヤマアリを撮影しながら追跡していくと、2m程離れたところにある巣穴へ消えていきました。所要時間は約5分間でした。
 
☆ 下記、植物生態観察図鑑(mizuaoiの写真館改め)の6枚の写真をご覧下さい。
  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm

キンキエンゴサク

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いま、スプリング・エフェメラルのエンゴサク類が次々と開花しています。
 石川県で現在記録されているエンゴサクの仲間は、正式発表ではありませんが、次の5種類と言われています。
ジロボウエンゴサク、ヒメエンゴサク、ヤマエンゴサク、キンキエンゴサク、ミチノクエンゴサクです。
 この内、ジロボウエンゴサク、ミチノクエンゴサクはかなり特徴がはっきりしていて同定にはそう困ることがありません。問題は、ヒメエンゴサク、ヤマエンゴサク、キンキエンゴサクです。この三者は基本種ヤマエンゴサクの変種同士ですからよく似ています。新日本植物誌(大井次三郎 至文堂)では、キンキエンゴサクの識別点として、「種子は縁辺に近く微小な乳頭状の突起がある。本州(近畿地方)」となっています。
 確実な同定のためには、「種子にある乳頭状突起」を確認することが必須ですが、なかなか実行する機会がありませんでした。一つには、辺り一面に生育していても花が咲く株が意外に少なく、加えて結実する株も少ないことです。群生していた場所へ足を運んでも全く果実が見られないこともありました。また、スプリング・エフェメラルなので、果実が完熟するのと逆行して葉が枯れていくため、見つからないこともありました。はじめて種子にある乳頭状突起を確認したのは、2004年5月10日です。目が慣れてきて、それ以後はどんどん見つかるようになりました。そうやって観察を続けますと、私がこれまで見ていた自生地で種子を見ることができたものではすべて乳頭状突起を確認できました。すべてキンキエンゴサクでした。
 画像15コマを使って解説してありますので、下記、植物生態観察図鑑をご覧下さい。

鶴来の樹木公園でたくさん見ることができます。

☆ 横1024ピクセルの大型画像は、植物生態観察図鑑(mizuaoiの写真館改題)のFILE290でご覧下さい。  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm