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ミズアオイの群落

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 9月6日、地元の北國新聞に、「航空自衛隊小松基地の脇を流れる用水で、ミズアオイが大繁殖し、用水を覆い尽くしている。この用水は、基地が管理するもので、浄化装置で濾過した基地の生活排水が流れている。大雨の際に水が道路に溢れる恐れがあるので、清掃を実施するものの、一部を基地内の調整池に移植することで、自然環境保全に最大限配慮したい」との記事が載っていた。石川県絶滅危惧1類とは言え、実態は危ういものである。
 7日、現場を見てきた。巨大な葉に先ず驚いた。最大に近い葉では、幅が約30cm近くもあってたまげた。メジャーで正確に記録しなかったことが悔やまれるが、生活排水のお陰で栄養豊富なのであろう。用水に入って撮影したかったが、道路からの段差も大きく、水量も豊富で、長靴ではとても無理だと思われたので、道路からの観察となった。途中自衛隊の若い隊員がトラックで来て、フェンスの向こうからだが、何をしているのかと尋ねるので花の撮影をしていると言ったら安心して去って行った。基地の方へカメラを向けている不審人物が監視カメラに写っていたので確認に来たのだろう。
 と言うわけで、今年はこの後、根こそぎ除去されることであろう。果実期に入っているものもあったが、完熟にはほど遠い状態であったから、おそらく全滅するかもしれない。
しかし、どっこい、ミズアオイはそう簡単に滅びる植物ではない。かつて、とある施設の横を流れる側溝の一部でも大繁殖した例がある。その側溝が、数年後、完全に干上がって、全くミズアオイが見られなくなっていた。しかし、後年、群落が立派に復元していた例を知っている。どこかから種子が流れてきたことも可能性としてはあるし、コンクリート三面張りの側溝ではあるが、水路の底に種子が残っていたこともあろう。

 ミズアオイのことをさらに詳しくお知りになりたい方は、拙著「知るほどに楽しい植物観察図鑑」(自費出版)をぜひお読み頂きたい。一部のページを掲載するので参考にして頂ければ幸いである。

☆ 横1024ピクセルの大型画像は、mizuaoiの写真館でご覧下さい。
  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm

プールがオニバスの葉で一杯になった

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 角形プール(縦1.45m、横2.35m)はオニバスの葉で一杯になってしまった。現在、最大径はH葉で130cm、I葉は未だ広がる可能性があるが、100cm。
次の葉は、どこからどうやって展開するのか。蕾だと先端が尖っているので、葉を突き破って伸びてくるが、葉の場合はどうかな?

オニバスの花

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今年も次々とオニバスが開花しております。
直径が1mを超す巨大な葉に似ず、花は直径わずか4cmの小さなものですが、外側の花弁の紫から、内側の花弁の白まですばらしいグラデーションを見せてくれます。

サデクサ

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 サデクサは水辺に生えるタデ科の1年草です。
 石川県では従来、自生が知られていなかったのですが、10年以上前に石川県地域植物研究会のT氏によって、加賀地方の水辺で発見されました。その場所が防災のための堤整備工事で破壊されるとのことで、T氏の呼びかけにより数名の会員が苗の移植などのお手伝いをしたことが思い出されます。その作業に携わった会員が、やはり加賀地方の別の水辺でも自生を発見しました。
 サデクサの特徴は、まず、基部が左右に開いた矛(ほこ)形の葉です。次いで上部が葉状に開いて、切れ込んだ托葉鞘を見つければ完全に同定できます。

詳しくは、mizuaoiの写真館でご覧下さい。
http://mizuaoi.photo-web.cc/265sadekusa.htm

サツキ2014

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 手取川の中流域に渓流沿い植物として名高い「サツキ」の自生地があります。
拙著「植物生態観察図鑑-おどろき編」で紹介した場所です。そこに自称「サツキ岩」と呼ぶ大きな岩塊があります。
 その辺り一帯にサツキがありますが、サツキ岩のわずかな隙間にも小型のサツキがギリギリの生育をしています。
 図5の右斜め下がサツキ岩の川下側で、その他は川上側ですが、岩盤の様子の違いが明らかにお分かり頂けますね。
 サツキ岩の川下側には苔やネコヤナギが生えて黒々していますが、川上側は激しい水流や流れてくる岩などがぶつかるので、岩が割れて新しい面が現れており、植生も乏しい状態です。
 よく見ると画面の真ん中に黒く丸い岩が見えましょう。重さが20kg以上もある浮き石です。現在の水面から1.5m程の高さにあります。過去の増水で、どこかから運ばれてきた岩です。同じ岩が図7の中央下にも見えています。何年か後には、これもどこかへ運び去られてしまうことでしょう。
 図8は、拙著「植物生態観察図鑑-おどろき編」の86ページ図4で示した岩です。本書をお持ちの方は86ページをお開き下さい。手前の岩とその奥の岩との間にあったサツキの大株が見られないこと以外は、ほぼ2009年6月19日の様子とそっくりですね。
 ああ、ついにこのサツキもなくなったかと思い、側へ寄ったら、なんと残っていました。根を蛸の足のように張り巡らせ、岩にしっかりと貼り付いていましたよ。太い幹が折れて無くなっており、根際に新しく枝を出していました。折れ口の具合からはかなり日時の経った様子が窺い知れます。と言っても、2012年6月には健在だった(86ページの図6)のですから、その後に失われたものです。
 厳しい環境の中でたくましく生きている姿に感動。

☆ 横1024ピクセルの大型画像は、mizuaoiの写真館でご覧下さい。
  http://mizuaoi.photo-web.cc/index.htm