手取川の中流域に渓流沿い植物として名高い「サツキ」の自生地があります。
拙著「植物生態観察図鑑-おどろき編」で紹介した場所です。そこに自称「サツキ岩」と呼ぶ大きな岩塊があります。
その辺り一帯にサツキがありますが、サツキ岩のわずかな隙間にも小型のサツキがギリギリの生育をしています。
図5の右斜め下がサツキ岩の川下側で、その他は川上側ですが、岩盤の様子の違いが明らかにお分かり頂けますね。
サツキ岩の川下側には苔やネコヤナギが生えて黒々していますが、川上側は激しい水流や流れてくる岩などがぶつかるので、岩が割れて新しい面が現れており、植生も乏しい状態です。
よく見ると画面の真ん中に黒く丸い岩が見えましょう。重さが20kg以上もある浮き石です。現在の水面から1.5m程の高さにあります。過去の増水で、どこかから運ばれてきた岩です。同じ岩が図7の中央下にも見えています。何年か後には、これもどこかへ運び去られてしまうことでしょう。
図8は、拙著「植物生態観察図鑑-おどろき編」の86ページ図4で示した岩です。本書をお持ちの方は86ページをお開き下さい。手前の岩とその奥の岩との間にあったサツキの大株が見られないこと以外は、ほぼ2009年6月19日の様子とそっくりですね。
ああ、ついにこのサツキもなくなったかと思い、側へ寄ったら、なんと残っていました。根を蛸の足のように張り巡らせ、岩にしっかりと貼り付いていましたよ。太い幹が折れて無くなっており、根際に新しく枝を出していました。折れ口の具合からはかなり日時の経った様子が窺い知れます。と言っても、2012年6月には健在だった(86ページの図6)のですから、その後に失われたものです。
厳しい環境の中でたくましく生きている姿に感動。
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