自宅にはヨーロッパ原産の帰化植物ベニバナセンブリとハナハマセンブリが植えられています。
6月4日、今年のベニバナセンブリの初開花です。ハナハマセンブリは6月5日でした。昨年は両者共に6月8日でした。
ベニバナセンブリとハナハマセンブリはよく似た植物で、クローズアップで見ないと区別が難しいです。引いた全体像の写真では間違って名前を付けられていることもしばしばです。
例えば、日本の帰化植物 平凡社 初版第1刷 のベニバナセンブリの写真はハナハマセンブリのように見えます。日本帰化植物写真図鑑 全国農村教育協会 第1刷 のベニバナセンブリの写真もハナハマセンブリの写真ですが、こちらは、ハナハマセンブリの間違いであることに気づいて、正誤表が配布され、解説文もハナハマセンブリに書き換えられています。
このように両専門書が写真を間違え、しかも両書共にハナハマセンブリの写真であるということで、ベニバナセンブリの実態が分かり難くなっています。
なかなかさんのホームページ「花*花・flora」によれば、全国的な分布状況はハナハマセンブリの方が多いようです。従って、多くの人がハナハマセンブリのすばらしい紅色の花を見て、なるほど、これぞベニバナセンブリと誤認している例が、ネット上にはしばしば見られます。
また、図鑑には、花の時期に根生葉がロゼットを形成する(ベニバナセンブリ)かしない(ハナハマセンブリ)かが両者の区別点だとの記述があるので、根生葉で区別をしている人も居ますが、これは誤りです。根生葉の状態では区別はできません。
クローズアップで花の写真で見ると両者は明らかに区別ができます。ベニバナセンブリは柔らかな紅色で、ハナハマセンブリはくっきりとした紅色だからです。また花の大きさもはっきり異なります。しかし、両者を並べてみることのできる場合には明瞭ですが、どちらか一方だけしか見られない場合には、紛らわしいことでしょう。
なお、この植物は葯がねじれて花粉を絞り出す?のが特徴ですが、開花直後の葯はねじれていません。時間経過とともに次第にねじれてきます。その様子も撮影してみました。
これらのことについては、拙著「植物生態観察図鑑 おどろき編」のp.175から183の9ページにわたって詳しく解説してありますので、ぜひともお読み頂きたいと思います。
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