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スタートはツユクサ(露草)です。

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 主として、石川県で見られる野生植物について、名前を知るだけではなく、その植物がもつ生きるための工夫や詳しいつくりなどを見ていくことにいたします。植物を見る目が広がり、楽しくなる観察日記です。

ツユクサ(露草)
 庭先や路傍の雑草として咲く夏の花です。早朝開花して、昼頃にはもう花が閉じるので、「朝露でぬれている間は美しいが、露が乾く昼頃にはしぼんでしまう」といった意味から付いた名でしょう。
 ツユクサ科の1年草で、花は萼片3、花弁3、雄しべ6の3を基本とする数からできています。しかし、青い色の大きな花弁が2枚だけ上方に見えていますね、もう1枚はどれでしょう。下の方で、小さくて無色の花弁となっています。面白いのは雄しべです。上の方に3個の「π」字形をした黄色い雄しべがあります。これは昆虫に花をアピールする目印で、花粉はほとんど作りません。もう1個、「人」字形をした雄しべがあります。これは花の中心部をアピールするためのものでしょう。花粉はかなり出します。残った2個の雄しべは、花の外へ長く突き出し、花粉をたくさん出しています。
 ツユクサは、昆虫に花粉を運んでもらう「虫媒花(ちゅうばいか)」ですが、もし昆虫が来てくれなかったら種子を作ることができません。そのような非常事態に備えて、一つの巧妙な作戦を立てています。昼頃、花が閉じるときに、長い雄しべがくるくると巻いて、雌しべにからまり、自分の花粉で自分の雌しべに受粉する「自花受粉」ということをして確実に種子を作ります。
 近所にツユクサがあったら、花を閉じるところまでを、ぜひ観察してみましょう。


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